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【役立ち知識:商標】商標的使用態様
(2015/08/19)
 
 先日、平成26年法改正によって、商標法第26条第1項第6号が追加されました。

 「第二十六条  商標権の効力は、次に掲げる商標(他の商標の一部となつているものを含む。)には、及ばない。
 六  前各号に掲げるもののほか、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができる態様により使用されていない商標」

 即ち、登録商標を形式的には使用しているときでも、それが商標の自他商品役務の識別機能もしくは出所表示機能を発揮する態様(以下、「商標的使用態様」)で使用されていない場合には、当該登録商標を実質的に使用しているものとは判断されません。
 この規定は、従来からこうした商標的使用態様でない商標の使用については商標権侵害を構成しないものとする数多くの裁判例が蓄積されていたのを踏まえ、条文上に改めて明文化したものです。

 商標権侵害訴訟の場においては、被告による原告登録商標の使用が商標的使用態様でなかったものと判断されると、非侵害とされ、当該商標権に基づく差止請求や損害賠償請求は認められません。
 尚、同様の考え方により、不使用取消審判の場においても、商標権者等による登録商標の使用が商標的使用態様でない場合は、使用の立証とは認められないというのが通説であり、商標登録は取り消されることになります。

 商標的使用態様による使用(以下、「商標的使用」)であるか否かの判断基準としては、商品・役務の性質、当該業界における商慣行、需要者・取引者に与える印象、あるいは取引の実情等を総合的に考慮される場面も多く、画一的な判断はできません。

 以下の例は、商標的使用でないと判断された代表的なものです。

[1]書籍等のタイトルとしての表示
(例えば、標章「POS」指定商品「印刷物」とする登録商標の存在に対して、「POS実践マニュアル」と題号を付けた書籍を販売する行為は、単に書籍の内容を示すものであるため商標的使用に当たりません。)*1

[2]当該業界では商標を通常付されない位置に見やすく大きく表示
(例えば、標章「巨峰」指定商品「包装用容器」とする登録商標の存在に対して、側面中央部に見やすく大きく「巨峰」と表示した段ボールを用いてブドウを出荷する行為は、内容物であるブドウの商品名又はそのブドウの出所を示すものであるため商標的使用に当たりません。)*2

[3]原材料・素材としての表示や、品質・効能としての表示
(例えば、標章「タカラ」指定商品「調味料」とする登録商標の存在に対して、「タカラ本みりん入り」という表示を付してだし調味料を販売する行為は、原料ないし素材として入っていることを示す記述的表示であるため商標的使用に当たりません。)*3

[4]デザインとしてのみの表示
(例えば、標章「ポパイ(図柄+文字)」指定商品「被服」とする登録商標の存在に対して、ポパイの図柄+文字をその胸部の中央部分に大きく表示したシャツを販売する行為は、専らその表現の装飾的あるいは意匠的効果によって購買意欲を喚起させることを目的とするため商標的使用に当たらないとされる場合があります。)*4

[5]キャッチフレーズの一部としての表示
(例えば、標章「オールウエイ」指定商品「清涼飲料」とする登録商標の存在に対して、「オールウェイズ コカ・コーラ」というキャッチフレーズを缶に表示してコーラ飲料を販売する行為は、それを見た一般顧客は専ら販売促進のためのキャンペーンの一環であるキャッチフレーズの一部であると認識するものであるため、商標的使用に当たりません。)*5

 上記[1]〜[5]のいずれかに該当するような態様での使用は、商標的使用とは認められない場合が多いです。

 商標権者側としては、商品に単に登録商標と同じ表示を付すだけでは安心せず、例えば上記[1]〜[5]に該当するとは判断されないように、当該業界において商標が通常付される位置に、取引時に需要者が識別標識(目的の商品を選ぶ際の目印)として明確に判別できるような態様で登録商標を使用していくよう注意した方が良いと考えられます。
 又、第三者が無断で登録商標又はこれに類似する商標を使用していることを発見した場合には、その使用行為が商標的使用に当たるかどうかも検討する必要があります。(*6)





(脚注)
 尚、上述した商標的使用態様の概念は、あくまで登録を受けた後の登録商標を実際に使用する・される段階における商品等への表示の仕方・され方についての話であり、出願から登録査定までの審査段階における登録要件などではありません。
(*1)POS事件 東京地裁昭和63年9月16日判決(昭和62年(ワ)第9572号)
(*2)巨峰事件 福岡地裁昭和46年9月17日判決(昭和44年(ヨ)第41号)
(*3)タカラ本みりん入り事件 東京地裁平成13年1月22日判決(平成10年(ワ)第10438号)
 但し、侵害訴訟の場においては、26条1項2号・3号(記述的表示等)の該当性として検討されることもあります。
(*4)ポパイ事件 大阪地裁昭和51年2月24日判決(昭和49年(ワ)第393号)
 但し、シャツの胸元のワンポイントマークのように、意匠的要素を含みながらも同時に自他商品の識別標識としての機能をも兼ね備えている場合には、商標的使用に当たる場合もあります。
(*5)オールウェイズ事件 東京地裁平成10年7月22日判決(平成9年(ワ)第10409号)
(*6)尚、法改正施行後の侵害訴訟の場においては、商標的使用に当たるかどうかを争点とする場合、使用していた第三者(被告)側が抗弁として「商標的使用に当たらない」ことを主張立証することになると思われます。
 PITAVA事件 知財高裁平成27年7月16日判決(平成26年(ネ)第10098号)  



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